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うづらのたまご

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  • ハレ (2015.03.11)
      
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ハレ

『ハレ』は中学時代の同級生。


面倒見がよく、兄貴肌、弱音は絶対に吐かない。
勉強ができたかどうかは知らないが、野球部ではショートで主将。
指がとても長く、器用だ。
背が高く、顔は…本人はイケメンだと思っているはずだ。

学年を引っ張っていくグループと、そうでないグループに分けるとしたら
奴は間違いなく前者であり、私は間違いなく後者であった。



奴が前、私が後ろの席の時。

社会の授業中、私の消しゴムがコロコロと前に転がり。
奴は気配でそれを察知し、拾ってくれようと右手を下に伸ばした瞬間、既に私が拾い上げており。
その時振り返った奴の驚愕の表情は、いまでも涙が出るほどおかしく。

何かの冊子で私を紹介する欄に、
「消しゴムをものすごく早く拾う人」と書いてあり。
やはり、奴の驚愕の表情を思い出し、腹を抱えて笑った。



夏に帰省すれば「帰ってきてだが?飲むど」とメールが。

奴の友人の焼き鳥屋で。
お互いの近況やら、同級生のこと、エロ話(聞いてるだけ)から昔話までいろんな話を。
たいてい奴と飲んだ翌日は後悔するはめになり。
ああ、もう二度と酒は飲みませんなどと思うのだが。
毎年夏の恒例行事に。



4年前。


大混乱の中、奴からメール。

「頼みがある。眠れないんだ。酒と煙草送ってもらえないか」

宅配便がなんとか動きだした日、酒と煙草、気休め程度の食糧を送った。



夏がきて、いつものように酒を飲んだ。
店のあちこちが補強された焼き鳥屋。
「怖がった。あど、周りの奴らの人間性がわがった(わかった)。ああいう時に本性って出んのな」
とだけ、痩せた奴は言った。



その言葉だけで。
奴がどんな思いをしたのか。
決して全てではないけれど、断片を想像することはできた。



今年の夏も、くだらない話の付き合いをするのだ。
バイアグラがどーだとか、こーだとか。
酒を飲みながら「ばーか」と言い合うのだ。



全くもって色っぽい関係ではないが、ハレが頑張っていることを、私は知っている。
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